大河ドラマにも使用された高根城へ

高根城(静岡県浜松市水窪町)
・遠江最北端。大河ドラマ『おんな城主直虎』のロケ地にもなった山城。小規模ながら、当時の遺構が鮮明に残っている。
・信濃との国境を監視するために造られた高根城は、武田家が遠江から撤退するタイミングで廃城となる。

高根城って聞いたことあるけど……どんなお城?

高根城は地元の国人『奥山氏』の居城でした。
奥山氏は地元の有力国人であり、現在も奥山という地名が残り続けています。家康が入る前には今川家と良好な関係性を築いており、安寧な支配をしていたと言えるでしょう。
しかし、武田・徳川が遠江を割拠する時代になると、奥山氏もその混戦に飲まれてしまいます。紆余曲折あり武田家の山城になった高根城には、現在まで武田家の築いた遺構が残り続けています。

高根城は、その美しさから外見だけが独り歩きしている気がしますが、実は精巧な縄張りが敷かれているお城でもあります。そう言った遺構の様子やアクセス等基本的な現地情報をお伝えしようと思います。
【記事の概要】
・高根城までのアクセス
・高根城の見所
高根城(静岡県浜松市)へのアクセス

高根城までのアクセス
・豊橋駅より特急で90分『水窪駅』下車
・水窪駅より入口までタクシーで10分。
・向市場駅より徒歩30分で城跡

正直アクセスは難易度高め
高根城がある浜松市は、全国でも2番目に広い市町村となっています。かつてはいくつもの村や町がありました。地名になっている水窪町もその一つ。筆者的には浜松市って海のイメージなんですが、実際来てみると面積のほとんどを山が占めているんです。流石は遠江最北端の山城だなという立地ですね。

駐車場は2か所(詳細は下記地図に記載)ありまして、どちらからでも山頂までは15分程で到着します。山頂は420m。プチ登山になりますので、軽装で来ないようにだけ注意する必要があるでしょう。
ということで、ここからは高根城の様子を紹介します。
高根城見所①水窪の絶景を一望


高根城からは水窪の街並みを一望できます。

確かに絶景かな……
目下には、北遠江と信濃を結ぶ『塩の道』が通っていました。
どちらかというと信州の歴史に詳しい方には馴染み深い道かもしれません。筆者も長野県の塩尻に遊びに行った時も、目の前には『塩の道』が通っていました。今で言うなら飯田線が通っている道ということですね。

そんな塩尻と水窪の共通点が……とにかく遺跡が多いこと。
水窪の一体にも縄文時代からの遺跡が溢れています。向市場という最寄りの駅も、遺跡絡みの名前であることは明白でしょう。塩尻も縄文時代から発展していて、全国的に有名な平出遺跡もある街です。
そんな縄文時代から積み重なった歴史が通る道ですから、これで高根城が担っていた役割りが見えてくるのではないでしょうか?
そういった水窪の歴史は『水窪民俗資料館』で。館内の写真は個人の使用に制限されていたので載せられませんが、入場無料ですのでぜひ遊びに行ってみて下さい。
ということで、高根城の遺構の話へ。
『塩の道』平出遺跡(長野県塩尻市)の様子はこちらから
高根城見所②工夫を重ねた遺構群

ということで駐車場から約15分。山頂の遺構へ到着しました。
整備は隅々まで行き届いていて、ウッドデッキを渡って本丸へ向かいましょう。

初めにお目にかかったのは『薬研堀』の堀です。武田家がVS徳川のために張った縄張りですので南側を向いています。薬研堀はV字の堀。ここは二重堀切となっていて、かなり厚い対策が練られていたことが伺えます。
ではどうして武田家の遺構だと分かるのでしょうか?
その答えは……

そうです。武田家特有の遺構である丸馬出があるからです。
少しお城をかじったことがある人なら良く知っていると思います。ちなみに角馬出が北条家の特有な遺構です。まさか高根城で丸馬出に出会えるとは思ってもいませんでした。しかもかなりはっきり残っていますから、素晴らしいですね。

本丸とを繋ぐ道は切岸に。人工的に削った壁面は、確かに登れないぐらい旧勾配となっていました。

さらに進むと本丸へ続く虎口があります。
実際に木橋が掛かっていたらしく、柵も横矢掛りになっていたそうです。

確かに、かなり工夫されているお城だなぁ

整備も行き届いていて初心者にも優しい山城です。

最後は本丸跡。復元された建物というよりは、用途的に必要だった建物なのだそうです。景観には配慮されて古い外観になっていますが、残されていた掘立跡とは違う場所に立てているそう。
小規模ながら精巧に敷かれた縄張りがよく分かる城跡でした。
終わりに

・高根城には武田家の丸馬出が残る。
・小規模ながら精巧な縄張りが敷かれる。
・塩の道に繁栄していた水窪の街並みを一望できる山城。

確かに面白そう。一度行ってみようかな

ぜひ自分の目で確かめてみてください。
今回は高根城(静岡県浜松市水窪町)の攻城レビューでした。
筆者の感想としては、絶対に行って損はない城跡だなと思いました。小規模な番城の遺構ではありますが、歴史的に見ても価値の高いお城であることは間違いありません。何といっても武田VS徳川の最前線だった場所なのですから。
ぜひ浜松に来たら高根城にお越し下さい。
今回はここまで。ありがとうございました。
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