はじめに

【初めに】
私はニホンカワウソを本格的に探す人間ではありません。学術的ではなく、あくまでもニホンカワウソを愛する立場から綴った素人の探索記録となっています。私とニホンカワウソの関係性を書くと長くなってしまいますので、暇な方は私のnoteを覗いてください【私とニホンカワウソ】
今回は、度々ニホンカワウソの生存が囁かれる『高知県大月町』へ。
筆者がニホンカワウソを好きになってから、かれこれ14年が経過。
果たして筆者の憧れはニホンカワウソに届いたのか。
少し長くなりますが、そんな筆者の探索記録を紹介します。
【今回の記事の概要】
・大月町とニホンカワウソ
・今回の探索行程
・大月町ってどんなところ?
・宿毛駅→大月町(海沿い~山沿い)
・生存の可能性【成果】
・今回の探索ルート(Googlemap)
大月町とニホンカワウソ
筆者が大月町の存在をはじめて認識したのは、このニュースがきっかけでした。
もう覚えていないですが、確かそう。
もしかしたら小学生の頃からニホンカワウソに関する本を読み漁っていたため、その中に大月町の名前があったかもしれませんけども。
このニュースがなくても、大月町(高知県南西部)での生存説はかなり信じられていたと認識しています。
この14年間、ありとあらゆる方の著書やブログ・動画のコメントの隅々まで見させていただいて、生き残っているという確信がありました。
しかし、筆者のエゴを押し付けると同時に考えたくてはならないのは、再発見というニュースがカワウソのためになるのかという問題です。
今の状態のように、やじ馬がいない方がひっそりと生きやすいのではないか。
大月に行くまでの私は、答えが分からないままでした。

ただ、そんな沈んだ気持ちで回っても仕方がありません。
専門的な知識なし。お金も時間もない私は専門的な調査はできない。従って今回は、大月町を一日かけてサイクリングという形で回ってみようということになりました。
『まず、大月町ってどんな場所?』
環境破壊が主因で絶滅に追いやられたニホンカワウソが生存している可能性がある大自然を、筆者は知る必要があると思いました。
大まかな流れは以下の通りです。
宿毛駅
↓
龍ケ迫休憩所
↓
岡崎の浜休憩所
↓
一切休憩所
↓
道の駅大月
↓
宿毛駅(約77キロ)
西の海岸線沿いを走り、帰り道は国道321号線を寄り道をしながら走りました。
時間は8時30分~16時30分の8時間です。
前日は宿毛駅周辺で宿泊しまして、朝一のサイクリングに備えました。

自転車は、宿毛駅前の観光協会で借りることができます。
事前に電話予約らしいので注意が必要です。
①宿毛駅~栄喜漁港周辺

朝7時30分。布団からはみ出る私の体が朝を察知したようで、アラームより前に目覚めてしまいました。
いつもより少し早い心臓の鼓動。
『カワウソに出会えるんじゃないか』
『夢が叶うんじゃないか』
と胸を膨らませながら、朝支度を済ませました。
そして、8時30分に観光協会に着くように、ホテルを出立します。
宿毛市観光協会にて2000円を支払い、自転車にまたがりました。
宿毛駅からまず渡るのは、松田川橋です。
ここを過ぎると本格的に海岸線を走っていくことができます。

栄喜漁港に着きました。
主にこれから走っていくのは、「安満地福良線」という道です。
この道は「四国のみち」の一部で、四国4県に跨る長距離自然歩道。果てしなく続く大月町の海岸線を走ります。
この辺りの自然はまだ序の口でしょう。潮の香りに誘われるまま深くまで進んで行きます。
国道を真っすぐ下れば、30キロ弱ほどで大月町の南端に行くことができますが、今回はカワウソを探すための自転車旅。
いかにも人がいなさそうな山道に逸れながら。

車一つ通れるかもわからないぐらい細い道を走っていきました。
わざわざ港沿いの道から山道へ進路を変えて探索していきます。
ここまでの道のり(大月北部~宿毛南部)では水源という水源はない様子。
海沿いの方が良かったかもと思いつつ、とんでもない山奥から大月町へ侵入します。
②大月町入口~龍ケ迫休憩所

『安満地福良線』に再び合流すると、海が見えてきます。
崖際のアップダウンを繰り返しながら海岸線を走っていきました。
あいにくの曇天以上に美しく輝く海。
太陽の光もないのにどうしてエメラルドグリーンに輝くのか。
『関東の海はこんなにきれいな色をしていないのに』なんて考えながら、目下の海岸にカメラを向けて、ひたすらカワウソがいないか確認します。
原始的だけど、探すのにはこれが一番だと思いました。
有識者の皆様によると、この大月の海岸線に住み着いている可能性があるのだとか。
確かにその可能性を捨てきれないぐらいの絶景であることは確かです。

龍ケ迫休憩所の手前、港に降りることができそうな場所があったので降りることにしました.
自遊学校という、学校を改修した宿泊施設の下になります。
写真だとわかりずらいかもしれませんが、目立つのは流れ着くごみの山。
どこまでも続く海岸線に、これでもかと流れ着くごみの山。

悲しい気持ちになってしまいます
ここで海を眺めながらしばらく腰を下ろして休憩しました。
ここまで既に2時間が経過し、気づけば10時30分。
まだ10キロも漕いでないことに気づいて足早にここを後にします。
③龍ケ迫休憩所~一切休憩所

ここから海岸沿いの安満地福良線をひたすら進み、折り返し地点である一切休憩所を目指します。
ここからは、徐々に蓄積される疲労も吹き飛ばす絶景でした。
泊浦漁港、橘浦漁港を抜けてひたすらアップダウンのある坂道を走っていきます。
険しい海岸線は確かに人の痕跡が薄く、ありのままの自然があるような気がしました。
携帯も圏外でしたしね。
海岸線を覗きながら、確かにニホンカワウソへ近づいている感覚はありました。

そうして、何とか14キロを漕ぎきると、第2のチェックポイントである「岡崎の浜休憩所」へ到着します。

ここには小さな展望台も設置されているので、素晴らしい絶景を目下に眺めることができます。
第2のチェックポイントである「岡崎の浜休憩所」から、折り返し地点である「一切休憩所」へは海岸線を走り、約12キロ。
変わらず平坦な道は少しで、坂道を登って下ってを繰り返します。安満地(あまじ)漁港を経由し、ひたすらに漕ぎ続けます。

海沿いはさらに風が強くなるため気を付けてください。
相変わらず、一切車は通りません。
そのため、綺麗な景色が見えては止まることを繰り返して、写真を撮ります。無論、景色だけでなく、海岸線の調査も忘れません。
未だカワウソは見つかりませんが、それでも探し続けました。
まあ、カワウソは夜行性って言います?からね。
日中にも移動はするみたいですが、中々お目にかかれないでしょう。
そして、安満地漁港を過ぎて、「勤崎」という場所に到着しました。

ここで少しだけ自転車から降りて景色を堪能しました。
写真の手前は防波堤となっているのですが、恐らく3メートル程はあったと思います。試しに、ここに乗ってみたのですが、風が強すぎて落ちそうだったので、ビビッて辞めました笑。
また、3メートル程あろう防波堤から波しぶきが超えてくるので、霧状に水が飛び続けています。幻想的な光景でした。
同時に自然の怖さも実感します。ここから落ちたらどうなるんだろう……怖。

ちなみに、勤崎は有名な釣りスポットらしいです。ウミウシも見ることができるらしい。
勤崎~一切休憩所

再び、自転車を漕ぎ始めます。
そして、ここからの道中は海側だけでなく崖側も見所です。
岩肌が露になっていて、とても迫力を感じる道です。波に崖に挟まれて、非常に圧を感じました。
平坦な道はしばらく続きます。そうして、再び現れる坂道。
何度でも蘇るさと言わんばかりに立ちはだかります。
再び一切漁港付近から坂道が続き、ラストスパートだと力を振り絞って登ります。
【折り返し】一切休憩所(柏島)

8時30分からスタートしたサイクリングも、13時30分をもって折り返し地点である「一切休憩所」に到着しました。
私が到着したのはすでに13時30分を過ぎた頃。
17時までに自転車を返さなくてはならないので、ここで引き返すことにしました。その前に、しばし景色を眺めながら休憩です。
どう表現すればいいのでしょうか?南西端というんですかね?。この四国の南西端に位置する柏島を一望するできます。

水飲み場もあったのでしばし休憩。
一切休憩所〜道の駅 大月

さて、「一切休憩所」での休憩も、あまりゆっくりはしていられません。
たっぷりと水分を補給して、ゴールである宿毛駅を目指します。
帰りの道は「柏島ニッ石線」に合流します。そして、長いトンネルを抜けると、「頭集川」という川が右手に見えて来ました。読みは「かしらつどい」だそうです。
頭集川を一緒にしばらく並走していきます。川は右手にあるので、中を覗き込めそうなところで停止しつつ、河川敷を見ていきました。
寄せては帰る波のように、くねくねの自転車捌きで道の駅を目指します。途中には河川敷に降りることができる場所もあったため、降りて探しました。
車も少なくニホンカワウソがいてもいいのにと思いつつ。
そうして「一切休憩所」から約11キロ。最後のチェックポイントである道の駅大月に到着します。
道の駅大月

やっとご飯にありつけます。ここまで来ると人も多く非常に賑わっていました。
時間もだいぶ余裕があるようだったので、アイスクリームとたこ焼きを購入し、30分ほど休憩しました。

一日中自転車を漕いだ後のたこ焼きは体に沁みます。ちなみに、たこ焼きは道の駅向かいの屋台で購入しました。

高知県に来て驚いたのはたこ焼き屋さんの多さです。
関東にいると銀だこぐらいしかお目にかかれないので、新鮮でした。値段もお手頃価格で手に取りやすいです。味も言わずもがな最高の味です。
さて、ここからの道のりは期待できそうな川を再び並走して帰る予定です。
最後の希望に胸を弾ませて自転車に跨り、宿毛駅へ向かいました。
道の駅大月〜宿毛駅

ここから国道321号をまっすぐ帰ればすぐなのですが、川沿いを並走していくため、回り道で帰ります。
次に並走する川は「添ノ川」です。ここからは水源も多く目が離せない場所になります。
止まっては水際を探しての繰り返しです。しかし、ニホンカワウソが見つかるはずもなく、宿毛駅に近づくにつれて、段々と夢の終わりも近づいて来ます。

それでも、うっとりとしてしまうほど綺麗な場所です。海岸線の景色とは打って変わり、まるで山奥の清流を見ているようでした。
実際山奥なのですがね。
護岸されていないありのままの河川もありますが、基本的には人の手が加わったもの。
ニホンカワウソという夢の存在が徐々に遠のいていくのが分かりました。
そうして長かったサイクリングも終わり、16時30分に宿毛駅に到着しました。
同時に、私の夢もひと段落ついてしまいました。
帰りは高知駅まで戻ります。「特急あしずり」を使用して、2時間30分で到着しました。
【番外編】道から外れて沢へ降りる

龍ヶ追休憩所に向かっている途中に、山奥へ続く沢を見つけました。
先は行き止まりでしたが、なんとか沢に降りれる様子。自転車を道端において降りていきました。
奥に進んで行くと、人もいない、車もない。そこに感じるのは山の息吹と静寂です。
私は、それなりに山や川を歩いてきた人間であるとは思いましたが、ここまで自然に圧倒されたのは初めてでした。写真ではわかりづらいかもしれませんが、「これ以上は来るな」と言われているようでした。

確か、糞に甲殻類が混じっていたり、タール状であれば、カワウソの可能性があると認識しているのですが、それっぽいもの?を発見。調べてもあまり出てこないので、私の知識では識別できません。
沢の中心にあった大きな岩で発見したので、目立つ場所に糞をするニホンカワウソと合致する。
分かる方はコメントください。

奥にずっと沢が続いていたのですが、見えない圧力と恐怖を感じ、少しだけ進んだところで、引き返しました。
もしかしたら、沢の奥にはカワウソがいて、人に来るなと警告していたのかもしれません。
そう考えると、カワウソという存在は、未来永劫秘匿されるべき存在なのかもしれない。
二ホンカワウソは生存しているのか?
さて、私のカワウソ探訪記もひと段落です。
後日談ですが、四万十市の四万十川や須崎市の新荘川を巡った私の中の結論は以下の通りです。
高知にカワウソが生き残っていると過程するのであれば、生き残っているのは高知県南西部であろうと思いました。そして、生存に関することは、にわかな私からは安易に口にすることはできませんが、生き残ることができる環境は残っていると私的には思いました。
特に大月町では、雄大な自然が残る一方で、海から溢れるゴミの山が非常に目立ちます。また、想像していたよりも宿毛駅周辺が発達している印象でしたので、人の手は徐々に大月町へ伸びて来てしまう事態が予測できるでしょう。そうなればカワウソの生存できる環境は失われてしまいます。
人にできることは放っておくこと。そして、一人一人のほんの少しの出来心を抑制することができれば、個体も再び増えてくるのではないのでしょうか。旅の最初は、その姿を拝みたいと思っていましたが、今はそうはあまり思わなくなりました。もちろん、いち動物好きとしての生存は心の底から願っております。
どこかに生きているカワウソさんに届いてください。
今回は収穫なしで大月町巡りを終えましたが、次の日は電車で戻り「須崎市」に行く予定でした。須崎市は、カワウソが最後に目撃された地域です。最後の希望を胸に大月町を旅立ちました。

ありがとうございました。大月町。末永くこの景色を。
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