【世界遺産】韮山反射炉(静岡県伊豆の国市)

多くの方が、高校の日本史で習うはずの韮山反射炉。
きっと「名前ぐらいなら知ってる……」と言う方は多いと思います。しかし、
・実際に誰が作ったのか?
・何で世界遺産なのか?
学校の授業ではここまで教えてくれません。センター試験日本史97点の筆者ですが、高校生の頃は詳しく知りませんでした。とにかく、韮山反射炉があること、そしてそれが世界遺産になっていることを知っていれば、早慶だって夢じゃない。それぐらい、高校日本史では素通りされる韮山反射炉。
今回は、高校日本史知識で止まっている筆者が、韮山反射炉を訪れた記録となります。
【この記事で分かること】
・韮山反射炉を作った人
・韮山反射炉と歴史的背景
・韮山反射炉までのアクセス
・韮山反射炉散策の概要
(今回紹介する知識はパンフレットとガイダンス施設で学んだ知識です)
【アクセスと概要】韮山反射炉とは?

伊豆箱根鉄道駿豆線:伊豆長岡駅より徒歩30分。
韮山反射炉は、静岡県伊豆の国市にある世界遺産。最寄り駅である伊豆長岡駅は、温泉で有名な地域です。私も実際に遊びに行ったことがありますが、伊豆長岡はのどかで癒される地域でした。温泉の方は廃業が目立っていた印象ですが、大丈夫でしょうか……
韮山反射炉は、そんな田園風景が広がる片田舎にひっそりと佇んでいます。国道136号線を外れて、田んぼが連なる小道を抜けると現れる小さな反射炉。当時は大きな建物だったのかもしれませんが、現代人である我々の高い建物の基準は634mです。流石に大きさで驚くことはありませんが、実際はどんな建物だったのでしょうか?
高校の日本史を思い出してみると、おぼろげに浮かぶのは……
「た、大砲?」
そうです。韮山反射炉は、幕末~大砲を作成していました。規模の小さい観光地ですが、流石は世界遺産。ガイダンス施設が非常に充実していて、1時間で反射炉マスターになれるほどの情報量でした(全部理解できていたかと言われれば微妙ですが……)

韮山反射炉では、入場券を購入するとそのままガイダンス施設に案内されます。ガイダンス施設を抜けると反射炉にありつくことが出来る構造です。しっかりとここで学習してから反射炉を拝みに行きましょう。詳細は実際に見て、学びに行ってみてください。プロジェクションマッピングによるガイダンスはとても迫力があり、見ごたえがありました。
【超大雑把解説】
・韮山反射炉は幕末期の遺構。当時最先端の西洋技術を活かした溶解炉。日本における産業革命時の遺構として、世界遺産に認定されている。高校日本史で言うと、同時期の産業革命遺産として官営八幡製鉄所がある。その辺の時期のものだ。
【誰が作った?】江川英龍と韮山反射炉

韮山反射炉を作ったのは江川英龍(太郎左衛門)
この江川英龍と言う人物は、私の記憶が正しければ、日本史の教科書にも出てくる人物です。当時は韮山で代官をしていた役人で、西洋砲術や解剖政策に関心を持っていました。現在も江川邸と言う名で、お屋敷が残っています。
同時期の時代背景は「内憂外患」(モリソン号事件・異国船打ち払い令・天保の飢饉……の時代)
「あれ? 日本ヤバくね?」
ということで行動を起こしていた先駆者の一人なのです。
お仲間には、教科書でもなじみ深い高野長英や渡辺崋山。特に渡辺崋山に師事していた江川は、ともに品川台場の築造にも携わっていた人物です。品川台場は、多くの方になじみがあるのではないでしょうか。実はあそこはれっきとしたお城でして、日本の続100名城にも選定されています。これで、何となく江川の立場が分かってきたのではないでしょうか?
そして、高野長英と渡辺崋山と言えば……蛮社の獄です。
高野・渡辺「鎖国はダメだぁ~」
幕府「はい処刑」
高野・渡辺「……」
悲しい事件であり、高校の日本史でも取り上げられる話題です。江川英龍もこの事件と密接にかかわっています。江川は、この事件を機に幕府への意見を辞めて黙らざる負えなくなったのです。ですが、江川は準備をし続けました。蛮社の獄を経ても牙を研ぎ続けていた結果……とうとうその日がやってきます。それがペリー来航です。10数年間の間、西洋砲術を学び続けていた江川がいたからこそ、日本の風向きが変わった瞬間に反射炉築造のスタートダッシュが切れたのです。
このように、江川と韮山反射炉は高校日本史の範囲でも超重要人物でした。
教科書ではあんまりお姿を見かけませんでしたが……
【見所紹介】韮山反射炉を歩く

韮山反射炉の魅力は、歴史的背景だけにとどまりません。
周りの自然も合わせて「世界遺産韮山反射炉」なのです。

実際に大砲を作る際に使用された「古川」や茶畑、森林。それらの自然に囲まれた場所で時を過ごせば、大いにリラックスすることができるでしょう。茶畑を通り抜けて見える展望台からの景色は、ここでしか見れない絶景。

茶畑を抜けると……

「ダブル世界遺産だ」と言いたいところですが、この日は曇っていて、富士山が雲隠れ。
残念……。
終わりに

韮山反射炉は、江川英龍による近代化の結晶。
韮山反射炉は、高校日本史の知識範囲だけで何倍も楽しくなる要素が詰まっています。多くの試行錯誤を経て生み出された世界遺産の魅力を、実際に感じてみてください。
今回はここまで。ありがとうございました。
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