新居関所(静岡県湖西市)

1600年設置された関所。浜名湖の今切口に設置されていたことから今切関所と呼ばれていた。1855年に建て替えられた関所が今も残り、現状日本唯一の現存関所である。
今回は国指定特別史跡『新居関所』へやってきました。
新居関所は日本唯一の現存関所であり、歴史ファンなら一度は訪れたいスポットでもあります。小さな史跡ではあるものの、特別史跡と言うだけあって展示や資料が非常に充実していました。

行ってみたいけど具体的に何があるんだろうか?

まずはそこを軽く説明しましょう
【関所がある新居町の概要】
新居関所がある新居町は、浜名湖の南に位置します。関所の周辺には今も古風な街並みが続いており、周辺には江戸時代から続いていた『旅籠紀伊国屋』やお洒落なカフェも並んでいました。関所内には現存する建物に加えて、復元された建物と資料館が並びます。
何より訪れるべきだと思う理由はたった一つ。
それは、江戸時代の旅に思いを馳せることができるから。
タイムスリップしたような街並みに充実した資料。当時の旅がどれだけ過酷で、どれだけ質素でも、当時の人にとっては何にも代えがたい幸福であったことがひしひしと伝わってくるスポットです。例えば長野県の『奈良井宿』のような壮大な宿場町ではないですが、当時の旅を知るという点においては非常に秀でていると思いました。
ですが、同じ浜名湖に面する浜松市街からも微妙に遠い位置にあり、中々目に入りづらい立地をしています。今回は『そんな小さな関所のためだけに来るのも……』と思っている方に向けて所要時間や見所を紹介します。
【今回の記事の焦点】
・新居関所の所要時間とアクセス。
・新居関所内の様子
・周辺の施設:旅籠紀伊国屋の様子。
新居関所を散策

・JR新居町駅より徒歩8分。
・浜松市街から車で約30分。
浜松城から30分前後で向かうことができる史跡です。
駐車場は、観光規模的に十分な広さがあると言えるでしょう。筆者は土日に訪れましたが、駐車場は混んでいる様子はありませんでした。かといって誰もいないわけではなく、幅広い年代の方が訪れていました。料金は400円。近隣の旅籠紀伊国屋と合わせて500円と言う値段設定でした。

筆者的には両方訪れて欲しいのでセットの券をおすすめします

現存する関所はこのような外観。ちゃんと中にも入ることができるので早速入ってみましょう。

中では床が軋む音が響きます。そして新居関所の説明がアナウンスされているので展示を見ながらでも理解が深まりました。当時の関所のお役人の人形が設置されていました。
江戸時代は国同士の移動がかなり厳しくされていたので、旅人は皆ここに来て徹底的にチェックされていたのでした。ただ、関所が機能していたからこそ江戸時代はこんなにも長く続いたのでしょうし、一概には悪いとは言えないなと思いました。筆者的には関所がある旅も趣深い気がしました。

新居関所が栄えていた理由の一つ。それは浜名湖と接続していたため、船での交通の要所として重要な役割を担っていたからです。今は浜名湖と接続していませんが、当時は目の前まで浜名湖が迫っていたよう。諏訪湖の高島城などもそうですが、『かつては湖と隣接していました……』と聞くと、少しだけ寂しい気持ちになりますね。

そして、江戸時代の旅事情を語るうえで外せないのが、女性と男性の格差。女性は移動に厳しい制限があったため、改女という役割の女性に厳重にチェックされました。それが行われていたのが、女改之長屋(復元)です。
江戸の治安や人口がが守られていたのは、女改が厳重に行われていたためと言えるでしょう。長屋内では、その当時の様子を詳細に知ることができました。

当時の女性の旅事情がかなり詳細に記載されています。

今とは違う価値観が非常に面白い!
江戸時代の関所システムを知ることができたのが今回の大きな収穫です。この辺はじっくりと読むことをおすすめします。
そして最後は資料館にお邪魔します。

最後はじっくり得た知識を復習。当時の旅を知ることで、今を生きる私たちの旅がいかにお金に頼った豊かさで塗り固められているのかと思案を巡らせていました。
【ここまで】
~新居関所では当時の旅の様子を鮮明に読み取ることができる~
ここまでの所要時間はおよそ30分。
ここまで見たら、もっと江戸の旅を知りたくなるはずです。
『庶民は旅に何を思い、求めていたのか?』
それを知るために『旅籠紀伊国屋資料館』へ向かいます。新居関所の道路の向かい側、徒歩で1分で到着です。
一緒に巡りたい:旅籠屋紀伊国屋資料館

1703年には紀州藩の御用宿に。一般客も宿泊していて、多くの旅人を見送り、また新たな出会いを生んでいた。昭和30年まで経営を続けていた。
中まで散策してみましょう。

当時の旅人が何を食べ、どんな風に寝ていたのか。質素な建物ですが、その中に幾億の出会いがあることを想像するだけで、思わず涙がこぼれてしまうほど。
質素なお食事の中に宿場の名物があるのが、当時の旅の楽しみだったようです。
浜名湖と言えば……もちろんうなぎ。
現代人からすれば簡単にうなぎを食べることができてしまいます。全国津々浦々でうなぎを食べることができますし、少し背伸びすれば高級なウナギを食べることも難しくありません。ですが当時の旅人はどうでしょう。私たちにとってのプチ贅沢は、彼らにとっての大きな幸福だったに違いありません。店主は色んな旅人を見送り、多くの笑顔を見てきたのでしょうね。今と価値観が違い過ぎて、自分の旅の在り方を再考するきっかけになりました。

色んな想像が捗る宿場なんだね

その通り……
終わりに~所要時間はどれぐらい?~

・2つ合わせて所要時間は1時間前後を見込むと良い。
・当時の『旅』とは何かを考えることができ、翻って幸せの在り方を再考できるスポット
今回は静岡県湖西市にある『新居関所』を訪れました。
メジャーな宿場町ではないですが、現存の関所があったり、当時の香りを残す町並みがあったり、我々現代人の心を癒してくれる最高のスポットと言えるでしょう。

浜松城とかと一緒に巡りたいね

ぜひ、遠州の歴史を体感してください!
今回はここまでありがとうございました。
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